まず、退職された経緯により失業保険の支給開始に大きな違いがあります。
失業保険をより早く受給するために知ってほしいのが、退職には自己都合退社と会社都合退社があります。ほとんどの方は自己都合で退社される方が多いですがコロナによる失業を余儀なくされた方は会社都合退社の扱いになるので2ヶ月の受給制限がなく支給が始まりました。
令和2年10月より厚生労働省は退職の2か月後から失業保険が支給されるよう、10月1日から運用を改めました。
自己都合退職と会社都合退職の違いについて
「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いは、退職の理由によります。
「会社都合退職」は、解雇や倒産など退職が余技なくされた場合です。
会社の業績悪化に伴う人員整理やコロナによる廃業などにより、一方的に労働契約を解除される場合が一般的です。また、リストラ等の退職勧奨・希望退職に応じた場合や、勤務地移転に伴い通勤が困難になった場合、何らかのハラスメント被害を受けた場合など、自分の意志に反して退職を余儀なくされた場合も当てはまります。
一般的には、下記のような理由で離職した場合が会社都合退職に当てはまります。
- 倒産や、大量のリストラ
- 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く
- 職場の上司・同僚等から、いじめや嫌がらせを受けた
- 勤務場所や勤務時間、賃金・職種などが労働契約締結時に明示されたものと著しく違っていた
- 賃金が大幅に減らされた又は未払いが続いた
- 会社から、退職するように促される“退職勧奨”を受けた
- (この場合、早期退職優遇制度等に応募して離職した場合は含まれません)
- 当該労働契約が更新されない事態になってしまった
なお、懲戒処分の対象となる問題を起こして免職・解雇となった場合は「自己都合退職」の扱いです。ただし、退職させられる理由に納得できず、不当な懲戒処分の可能性が考えられる場合には、企業側に詳しい説明を求めるようにしましょう。
「自己都合退職」は、自分から退職する場合です。
一般的に、多くの方が、退職が自己都合退職に当てはまります。転居・結婚・介護・病気療養のための退職はもちろん、自分が望む仕事内容・待遇などを求めて転職する場合も、自己都合退職です。
自ら退社した「自己都合退職」のデメリットは?
まず、失業給付金の支給を受けるまで、3ヶ月の「給付制限」があります。
またハローワークへの申請を経て、最低でも待機期間として7日間は待つ必要があり、どんなに早くても「3ヶ月と7日後」からの支給となります。また、会社都合退職と比較すると額が少なく、給付期間も短くなります。なお、退職金を支給している企業においては、自己都合退職の場合は会社都合退職よりも退職金が減額されるケースがほとんどです。詳細は、就業規則を確認するようにしてください。
自己都合退社 | 会社都合退職 | |
失業給付金 最短での支給開始日 | 3ヶ月+7日 | 7日後 |
失業給付金 支給日数 | 90~150日 | 90~330日 |
失業給付金 最大支給額 | 約118万円 | 約260日 |
失業給付金 給付制限 | あり | なし |
失業給付金の制限が免除される自己都合退職
一般的な例をご紹介しましたが、同じ自己都合退職でも、理由によっては、「特定理由離職者」として給付制限が免除される特殊なケースがあります。また、会社都合退職と同様に、給付日数が長くなったり、国民健康保険料が軽減される場合もあります。下記はその一例です。
- 親の死亡によって家庭状況の急変した場合
- 30日以上の長期間にわたる家族への看護や介護を行っていた場合
- 結婚や事業所の移転などにより、往復の通勤時間が4時間以上となり通勤が難しくなった場合
- 医師の判断で退職したほうが良いとアドバイスされていた場合
実際に「特定理由離職者」認められるかどうかは、個別の事例によって異なります。また、「特定理由離職者」として認められる場合には必要書類の提出が求められますので、詳細についてはハローワークでご相談ください。
自ら会社を退職される「自己都合退職」場合に知ってほしいこと
自己都合退職をする場合にも、できる限り円満に退職をしたいとお考えかと思います。そのために準備をしたいこと、確認しておきたいことをまとめました。転職活動や転職先への入社時期もふまえて、しっかりと「退職までのスケジュール」を立てて行動することが大切です。
退職を決めた場合は、退職日は最短でも2週間後に
退職の意思(退職届)の申告後の原則2週間後には退職が可能「民法第627条第1項」です。
ただ、後任担当者への業務の引き継ぎなどが発生しますので、退職の1~2ヶ月前には申し出るのが適切でしょう。業務の引き継ぎができるのは、会社側に退職を受理されてからです。退職を考えてからは、退職までのスケジュールは早めに立てることにしましょう。
退職届を提出する前に、「就業規則」も確認しましょう
法律上、「雇用期間の定めのない社員」はいつ退職を申し出ても問題ないと定められています。
とはいえ、会社の就業規則に則って申告をすることが通常です。まずは、就業規則で「いつまでに・誰に・退職の意志を伝えるべきか」を確認しましょう。
有給休暇が残っている場合は計画的に取得しましょう
多くの場合、たまった有休を退職前に消化することができます。ただし、退職直前になってから有休消化を申請した場合には、認められないこともあるでしょう。引き継ぎの都合や有休の残日数もあわせて申請をしましょう。
退職金や積立金など会社とチェックをしましょう
会社の給与担当者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することをお忘れなく。退職金をもらえる場合、この申告書の提出を忘れると、自分で退職金の確定申告を行なわなければなりません。詳細は給与担当者にご確認ください。
健康保険・年金の手続きも大切です
退職後には、健康保険や国民年金などの加入手続きが必要になるケースが多いです。退職前には、健康保険証のコピーを取る、年金手帳が手元にあるか確認する、といったことを忘れずに行ないましょう。退職後にどのような手続きが必要になるか、あらかじめ会社や自治体に確認しておくと万全です。
会社から、会社都合退職から自己都合退職にしてほしいと言われたら?
実は、会社から「会社都合による退社ではなく自己都合での退社ということにしてもらえないか」って言われたって人は、非常に多くの方が言われている事例になります。
この背景には、会社側が、会社都合で退職されてしまうと、厚生労働省からの助成金をもらえなくなるという事情があるのです。
例えば、正社員転換を促す「キャリアアップ助成金」などです。採用時点は有期契約として半年以上勤務した従業員を正社員転換する場合に50万程会社に助成されるものです。
これが、会社都合で退社などの実績があると申請が出来なくなったり助成してもらえなく場合があるためです。
自己都合退職を、会社都合退職にできる場合とは?
自己都合退職には、「特定理由離職者」という枠があります。これに該当すると、
給付制限や最大給付日数などで優遇されるようになっているのです。認められる理由はさまざまで、例えば…
- 労働契約が満了、かつ労働契約の更新がないことによって離職した人
- 病気や心身の障害によって離職した人
- 妊娠・出産・育児等を理由として離職し、受給期間延長措置を受けた人
- 結婚に伴って住所を変更した人
- 事業所が通勤困難な場所に移転した人
…などがあります。
(これらは一例ですので、詳しくはハローワークのページも参考にしてみてください)
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
また、退職時に自己都合退職として扱われていても、のちにハローワークで会社都合退職だと認められる場合もあり、その場合は「会社都合退職」に変更可能です。
例えば、
- 残業時間が長すぎる
- 給料の減額、未払い
- 採用時の条件と実際の労働条件が異なる
- セクハラ、パワハラなどのハラスメント
など
自己都合退職を会社都合退職に変更したい場合は、その“証拠”がないと、会社側は自己都合退職として処理しています。
そのため、例えば残業時間ならタイムカードのコピー、ハラスメントならボイスレコーダーのデータなど、証拠を確保しておきましょう。
失業保険「失業給付金」について
失業保険「失業給付金」は、会社を退職して次の就職先が決まっていない状態の一定期間、転職や再就職を支援するために国から給付される手当である
失業保険をもらうことにより、生活の不安なく求職活動が取り組めるようになり、気持ちの安定にもなってます。
失業給付金の受け取るための条件は2つ!
離職日から遡って2年の間に最低12ヶ月以上働いた期間があること
一般的な自己都合退職の場合な条件。会社都合退職の場合や、「特定理由離職者」の場合は、離職日から遡って1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも構いません。
ハローワークにて求職の申し込みを行う。注意点あり
求職活動を行なっている状態でなければ、失業給付金を受給することはできません。
下記のような場合では「失業している状態にある」と認められ対象外となります。
- 既に次の就職先が決まっている
- 副業などによる別の収入がある
- 就職ではなく起業をする準備がある
- 求職活動はせずに休養をする
- 結婚などにより家事に専念する
- 職業訓練を目的としたものではない学業に専念する
失業給付金の給付額・給付日数など
失業給付金の給付額
給付額は、年齢・退職理由・勤続年数により異なります。
自己都合退職の場合は、失業給付金の給付額は最大で約118万円。年齢や、離職前に勤めていた会社における退職前6ヶ月間で受け取った給与によって、多少変動する仕組みです。
失業給付金の給付日数
給付日数も、退職理由・年齢・勤続年数により異なります。
自己都合退職の場合は、90日~150日です。
会社都合によって退職を余儀なくされた場合では、90日~330日となります。

失業給付金を受け取るための準備するものは?
- 雇用保険被保険者離職票1・2(退職後に会社から受け取れます)
- 写真付きの身分証明書(運転免許証、住民基本台帳カードなど)
- 写真2枚(縦3cm×横5cmの正面上半身、かつ3か月以内に撮影したもの)
- 印鑑
- 本人名義の普通預金通帳
- 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
失業保険「失業給付金」をもらうまでの流れ
1.会社から「雇用保険被保険者離職票」を受け取る
2.ハローワークで求職の申し込みをする
3.待期期間(7日間)
4.雇用保険受給説明会
5.失業認定日(1回目)
6.自己都合の場合 ⇒ 給付制限(3ヶ月)
6.会社都合の場合 ⇒ 1週間後より支給開始
7.2回目の失業認定
自己都合退職の場合の特徴は「給付制限」があるだけでなく、
支給がスタートしてからも4週間ごとに「失業認定」を繰り返す点です。また、失業状態を認められるためには「求職活動をしていること」が最低限の条件となるためです。
自動的に振込まれ続けるわけではありませんので、注意が必要です。