コロナ禍による緊急事態宣言以降の失業保険の制度の特例や変更点を解説致します。

コロナ禍による緊急事態宣言以降の失業保険の制度の特例や変更点を解説致します。

会社を退職した場合、なるべく早く失業手当を受給できるように、失業の手続きをする人がほとんどです。コロナによる影響により、職を失われた方がいつでも、失業保険のサポートを受けられる訳ではありません。

こちらでは、そのような人たちをフォローしてくれる内容についてご説明しましょう!



失業保険の受給期間の延長と対象になる場合

今回のポイント「受給期間」とは、簡単に言うと基本手当が受け取れる期間のことを言います。

通常時の場合は「離職日の翌日から1年間」と決まっており、その期間内に手続きをしなければ受け取れる手当が満額分受け取れなくなってしまいます。

特別な理由がある場合には、延長が認められることもありますが、あまり例がありません。

しかし、コロナ特例によって、受給期間に関しても柔軟な対応がされるようになってます。

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  • 最大3年まで延長可能
  • 対象となるのはコロナが原因で働けない人

ここからは具体的な内容をご説明しましょう。

最大3年まで延長可能

本来の受給期間は1年間でしたが、本来の期間にプラスして最大3年まで延長できる対応がされたので、手続きまでの時間が増えることになります。

このことで、急いで手続きしないといけないと焦る必要は無くなりました。

対象となるのはコロナが原因で働けない人

次に、延長措置の対象者になるのは、どのような人なのかです。

いずれの対象者でも共通している条件は、「コロナが原因で30日以上働けない」という状態になります。

それは、どのような状況なのでしょうか?

該当する事例としては、感染リスクからハローワークへの来所を控えている人、感染している疑いのある人が挙げられます。

また、子どもの休校状況等から、養育をしなればならないという状況の人も、すぐには働くこと、手当の手続きをすることができませんよね。

どのケースも、コロナがきっかけで次の行動に移すのが困難になっていることが明らかでしょう。

特例による延長を利用したい場合は、申請する必要がありますので忘れないようにして下さい。

受給期間の特例を利用する際の注意点

ちなみに、この特例措置はあくまでも受給期間に関する内容になっています。

受給期間が延長されるということは、基本手当の給付日数も同時に変わると勘違いしてしまいそうですが、受給期間受給日数は別扱いになりますから、給付日数も延長できることにはなりません。

そのため、しかるべき期間内に手続きをしなかった場合には、給付日数が減ってしまいます。

従って、十分な形での給付を受けたい場合には、なるべく早いうちに手続きすることをオススメします。

今すぐに働けない状況の時は、特例措置の利用を検討してみて下さい。

給付日数の具体的な変化を確認しよう

つぎに、特例によって変更がされている給付日数の具体的な中身を見ていきましょう。

コロナの影響で離職等をした場合、給付日数が60日(一部の対象者は30日)追加される特例が設けられています。

変更点を明確にするために、変更前と変更後の内容を表にまとめてみました。

これらの日数はあくまで目安の規定になり、実際はみなさんの雇用保険の加入期間の状況によって大きく変わります

あくまでも最大給付日数という形で捉えるようにして下さい。

 

ポイント
  • 自己都合退職の場合の比較
  • 会社都合退職の場合の比較
  • 延長期間における注意点

それぞれの表を見ると、変更点が明らかなことが分かります。  

1.自己都合退職の場合の比較

まずは、自己都合退職の場合の給付日数の違いを見ていきましょう。

従来の制度内容の場合の日数は、以下の通りにまとめられます。  

被保険者期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
65歳未満共通90日90日120日150日

上記の表を見ると、10年未満である場合には最大90日であることが分かりますよね。

この情報を踏まえた上で、現在適用されている特例の内容は次の通りになります。 

被保険者期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
65歳未満共通150日150日180日210日

  それぞれの雇用保険の加入年数に、それぞれ60日追加された表がコチラになります。 1年以上働いている場合には、最大で約半年間給付を受けることができますよね。 半年は結構な時間になりますから、最低限の生活をしただけでもそれなりの出費になります。 そのサポートが通常よりも長く受けられるのは、有難いでしょう。  

2.会社都合退職の場合の比較

次は、会社都合退職の場合の双方の日数の変化を比較しましょう。

まずは、従来の給付日数を表にまとめました。  

被保険者期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日 
30歳~35歳未満90日90日180日210日240日
35歳~45歳未満90日90日180日240日270日
45歳~60歳未満90日180日240日270日330日
60歳~65歳未満90日150日180日210日240日

  上記の表の数値を見た上で、下記の特例の内容をご覧下さい。  

被保険者期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満150日150日180日240日 
30歳~35歳未満150日180日240日270日300日
35歳~45歳未満150日210日240日300日300日
45歳~60歳未満150日240日300日330日360日
60歳~65歳未満150日210日240日270日300日

  会社都合の場合は、特に給付日数の長さに大きな違いが見られますよね。

特に、1年未満であっても世代を問わず追加フォローがされていますから、働いたばかりの人でも助かりますよね。  

3.延長期間における注意点

また、会社都合の場合は、誰でも一律に日数が60日追加になる訳ではありません。

先程の会社都合の表を見た時に、30日分しか追加されていない箇所がありますよね。

一部の年齢に該当する人は、長く追加されませんから、自分の年齢に該当する箇所を確認する際は追加日数について確認しておきましょう。  

会社都合の特例の表の中では、以下の年齢に注目しましょう。

  • 「35歳以上45歳未満」の給付日数270日
  • 「45歳以上60歳未満」の給付日数330日  

みなさんも今一度、この年齢の箇所をご確認下さい。

誰にでも一律で日数が長くなっている形ではありませんから、利用する際は少し注意すべき点になります。

従来の規定日数の関係上、特例だからどの世代、加入年数でも恩恵が受けられる訳でないことは覚えておきたいところです。

ただし、この特例の内容は誰でも適用される訳ではありません。

最後に、適用に関する条件に付いてご説明します。  

特例における給付日数の延長が認められるのは?

2つの離職理由における特例の給付日数ですが、1回目の緊急事態宣言後で認められるのは「会社都合で退職」された人になります。

自己都合退職でも特例の措置は取られているのですが、その対象者は令和2年4月7日以前に退職した人になります。

これは、1回目の緊急事態宣言前になりますよね。

この時点だと、まだ自己都合、会社都合のどちらで退職した人でも適用が認められていますが、その後から対象範囲が明確になってきます。  

以降は、基本的に「会社都合」で退職した人が適用の対象になりましたよね。

なぜかと言うと、緊急事態宣言後の社会状況を少し思い出してみて下さい。

様々な自粛を強いられた結果、企業の業績が下がり、大企業でも経営が厳しい状況になっていました。

その影響は、まだまだ続いているでしょう。  

そのため、1回目の緊急事態宣言後の退職における特例の適用者は、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」が対象となっているのです。

上記の対象者が条件として指定されている時期は、以下の通りになります。  

  • 令和2年4月8日~5月25日の期間内に離職した人
  • 令和2年5月26日以降に退職した人(コロナの影響で退職を余儀なくされた人)  

特例と聞くと、どのような離職理由においても対応してもらえると思ってしまいがちですが、厳密には、どのタイミングで、何の理由で離職したかで対応が変わります。

もしかすると、ハローワークに手続きをしに行った時点で、自分が対象となるのか発覚する人もいるかもしれませんので、これから申請を考えている人は、自分が対象者になっているかを確認してから、今後の動向を考えるようにしたいところです。

給付制限の仕組みについて

そもそも失業手当の給付が開始される時期が人によって違うのは、給付制限の有無によります。

まずは、給付制限という仕組みの基本知識についてここからは解説致します。

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  • どのような退職理由の時に設けられるのか?
  • なぜ、給付がすぐに始まらないのか?

これは、コロナの状況に関係なく、通常時でも疑問に感じる人が多い内容になってます。

どのような退職理由の時に設けられるのか?

給付制限は、基本的に自己都合退職の時に設けられる期間になります。

タイミングとしては、失業手当の受給資格が決定し7日間の待期期間の後に、設けられる期間になります。

コロナ前の従来の設定だと、3カ月間です。

比較するために、会社都合で退職した場合の給付の流れを確認してみましょう。

会社都合で退職した場合、失業手当の受給資格の決定の後、7日間の待期期間がある部分までは同じ流れになります。

ところが、待期期間が終了した後は、すぐに給付が始まりますから、お金を手に入れるスピードが違っています。

転職等の理由で自己都合退職した場合でも、お金に困っている状態は同じです。

どうしてこのような違いが設けられているのでしょうか?

なぜ、給付がすぐに始まらないのか?

自己都合で退職した場合、給付前に3カ月間待たないといけないのは、あくまで「自分の都合で退職した」ということが関係しています。

会社都合で退職した場合は、リストラや会社の経営状態の悪化から倒産したという、自分が辞めたくて辞めたという理由ではありません

急な離職になることがほとんどですから、生活費を準備する時間すらないのです。

そのような人たちには、早めにサポートをしなければなりませんよね。

一方で、自己都合退職の場合を考えると、自分のタイミングで辞めることが多いですから、その後の生活の準備をする時間が確保しやすいと考えられています。従って、急いで給付をする形でなく、一定期間を設けていると言って良いでしょう。

自己都合退職に該当する場合は、自分の責任の下、これからの生活を考える必要が出てきます。

そのため、自己都合退職の時は、離職票をハローワークに提出して手続きしてから、給付までに最短で4カ月かかることになります。

しかし、現在のコロナの状況だと、3カ月間の期間をどうにかすることが困難な人もいます。

そのような人に早めのサポートができるように、特例措置が認められました。

給付制限が3カ月から2カ月に短縮!~自己都合による退職者への救済措置~

自己都合退職者の救済として、令和2年10月1日から、給付制限3カ月の期間の短縮が認められました。

1カ月でも早く給付が受けられるとなると、生活面の不安が解消されます。

対象となる人は、特例が適用される10月1日以降に自己都合で退職した人になりますから、実際に恩恵を受けている人もいるでしょう。

会社都合退職でない人にもサポートの手が伸びていますが、注意点もあります。

・特例を利用できる回数
・令和2年10月1日以前の退職に関して

全ての人に対してでなく、一部特例の対象外になるケースもあります。

せっかくの特例メリットを活用できるように、確認しておきましょう。

特例を利用できる回数

1つ目は、特例の期間短縮が適用できる回数で、「5年間のうち2回」までとルールが決まっていることです。

このルールを理解するためのポイントは、最初に特例を利用した退職日になります。

例えば、令和3年3月15日に1回目の退職後、令和6年5月30日に2回目の退職をします。

その後、令和8年9月30日に3回目の退職をした事例の場合は、最初の令和3年3月15日から、3回目の令和8年9月30日で5年経過しています。

このケースの場合は、5年を超えていますから、特例の給付制限の期間短縮の対象になります。

一方で、先程と同じように、令和3年3月15日が1回目、令和6年5月30日が2回目、令和7年9月30日が3回目の退職日になるケースを見てみましょう。

初回の令和3年3月15日から、3回目の令和7年9月30日では、まだ5年が経過していませんよね。

そのため、特例の給付制限期間の短縮のルールからすると、3回目は通常通りの3カ月間待たなければならないのです。

ちょっと複雑かもしれませんが、短縮のメリットを受けるためには大切な計算になるでしょう。

令和2年10月1日以前の退職に関して

また、特例の適用開始が10月1日ですから、前日の9月30日までに退職された人は適用の対象外になります。

さらに、正当な自由のない自己都合退職に関しても、9月30日までは対象外になりますから、通常通りの対応がされることになります。

自分の退職日によって、早期に給付がされるかどうかの分かれ道になりますので、手続きをする際には「退職日」にも注意して進めるようにして下さい。

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