阿武町での誤送金問題で話題になったネットカジノについて

過日問題になった、山口県阿武町で起こった誤送金問題によって、ネットカジノに注目が集まっています。
これは、どのような問題だったのでしょうか?
また、ネットカジノというのがどのようなものかを知らない方も多いでしょう。
ネットカジノとは、一体何なのでしょうか?
誤送金問題の概要と、ネットカジノについて解説します。



そもそもの事件とは?

まず、誤送金問題とはどのようなものだったのでしょうか?
これは、山口県阿武町で新型コロナウイルスの影響を受けた低所得世帯を対象として、10万円を給付する際に起こりました。

事の発端は、4月8日に対象となる463世帯にそれぞれ10万円ずつ入金するはずが、誤って1世帯に全額の4630万円を入金してしまったことです。
それを受け取ったのが、24歳の田口翔容疑者でした。

田口容疑者は、自宅に訪ねてきた町役場の職員からその話を聞き、一緒に金融機関まで行って入金されていることを確認しました。
そして、その際に「今は返還しませんが、後日返還します」と言って職員を帰したのです。

ところが、それから連絡が取れなくなってしまいました。
そして、21日になってから「入金したお金は動かしてしまい返還できなくなった。罪は償います。」という連絡があったのです。

そして、その使い道となったのが、ネットカジノでした。
田口容疑者は、ネットカジノにその4630万円を入金して、およそ2週間で全て使い切ってしまっていたのです。

男性は4月8日の時点でカードを使って60万円以上を引き出し、その後数百万円単位で引き出しをして2つの銀行へと移していたことが分かりました。
その2つの口座は町が裁判所に訴えて仮差押をしたのですが、返還できるほどの預金はなかったようです。

田口容疑者は電子計算機使用詐欺の容疑で5月18日に逮捕されましたが、その時点の所持金はわずか665円だったそうです。
そして、4630万円のうち8割は特定の決済代行業者に移していたということが分かりました。

その後、決済代行業者から阿武町に対して、3500万円が返還されました。
その他の決済代行業者からも返還され、6月9日迄には全体のおよそ9割にあたる約4290万円が返還されています。

この事件によって、町の職員の中で町内の広報誌に顔写真が掲載されていた男性が、ミスをした職員と誤解を受けてネット上で批判されるなど被害も生じています。
お金を返しただけでは済まない、大きな波紋を生み出しているのです。

ネットカジノとは?

では、今回話題となったネットカジノというのは、どういうものなのでしょうか?
日本では公営競技を覗いて、お金を賭ける行為は禁止されています。
カジノなどもかつて構想はありましたが、現時点では違法とされています。

しかし、海外ではカジノが合法という所も少なくありません。
世界的に有名なところとしては、ラスベガスやドバイなどがあります。
こういったところでは、たとえ日本人が賭けていても違法ではないのです。

とはいえ、海外までカジノのために行くというのは大変で、中々できない人も多いでしょう。
そういった人が手軽にカジノで遊べるようにしたのが、ネットカジノです。

ネットカジノは、基本的にカジノゲームです。
賭博が合法の国で免許を発行してもらい、ネット上のカジノゲームで現金をかけることができるようにしているのです。

また、よりリアリティを出すために現地の実際のカジノの様子を中継し、ネット上からかけられるようにしているものもあります。
ネットカジノの他、オンラインカジノと呼ばれることもあります。

ネットカジノについては、海外で行われているものなので違法ではない、と考える人もいます。
しかしそれは誤解で、実際には国内から参加していると賭博になるため、違法なのです。

すでに、2016年には大阪で賭博容疑によって逮捕されている例もあります。
ただし、カジノを運営している事業者が海外にいることで利用者の特定が難しいことから、逮捕される例は少ないというのが実情です。

今回、田口容疑者はネットカジノであっという間に4630万円を使い切ってしまったということですが、ネットカジノではルーレットに1回100万円をかけられるものもあるため、使い切ろうと思えばアッという間なのです。

また、ネットカジノは24時間運営されていて、パソコンだけではなくスマートフォンからも参加できます。
資金は決済代行業者を通じてネットカジノの口座に入金されるため、それが残っている間はいちいち振込などをする必要もありません。

今回の田口容疑者の場合、最初は返還するつもりがあったのに途中から気が変わったようでした。
おそらく、その入金されたものを元手にして増やしてから、変換したいと思ったのでしょう。

しかし、ギャンブルというのはそもそも胴元が儲かるものであり、プレイヤーはなかなか勝つことができないのです。
そんな不確かなものに、自分のものではないお金を賭けるというのは正常ではありません。

おそらく、最初はいくらか勝つことができたのかもしれませんが、途中からは大きく負けてしまったのでしょう。
それを取り戻そうとして焦っていたものの、資金がかなり少なくなってからはあきらめ気味だったのではないかと思います。

今回の問題は誤送金の返還でしたが、その使い道となったオンラインカジノについては、今後規制が厳しくなる可能性もあります。
その違法性を明らかにして、国内から利用するのが困難になる法律などが定められる可能性も高いでしょう。

特にクレジットカード決済が可能なネットカジノの場合、毎回お金を入金するわけではないため、ギャンブルという感覚が薄くゲームとしてプレイする人も多いのです。
そのせいで、気が付いたら借金だらけになっていた、ということもあります。

ギャンブル依存症にもなりやすいと言われているので、現状のままというわけにはいきません。
ネットカジノに対する方針はまだ明確になっていないので、これをきっかけに正式な法律が定められる可能性は高いでしょう。

最後に

誤送金問題によって注目されたネットカジノは、現在気軽に遊べる状態ではあります。
しかし、利用した結果逮捕される可能性は十分にあるため、利用する場合は違法性を十分に考えた上で行うべきでしょう。
そして、安全性を考えるなら出来る限り利用しないようにするべきです。
今後取り締まりが厳しくなる可能性もあるので、そのことも知った上でどうするかを検討してください。

タイトルとURLをコピーしました